トモ

52ヘルツのクジラたちのトモのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.7
多角的多面的な様々なテーマを含んだ物凄く重く辛い話ではあるけどそれだけではなく思わぬ人との繋がりや愛情の温もりも描かれていて終始揺さぶられるような感覚

時代や立場が変わればその力も変わるし見方も変わる。無知故に少しでも言葉のチョイスを間違えるとストレートに捉えられ人間性を否定されてしまいがちな不寛容で極端で繊細な時代で感想を躊躇ってしまうけど個人的には色々と考えさせれる奥深い意義ある作品だった

原作者も自分の手から完全に離れたものと言っているし、そんな中で名匠と名優が良い意味で衝突しながら作り上げた作品に素人がどうこう言うつもりもないので

限られた時間にここまでのテーマを描くのは大変だろうとは思うけど心情や背景を浮かび上がらせてくる含みがあって物足りなさは殆ど無かった。均等に流れる時間の中で宮沢氷魚君の出てくるシーンだけ流れが速く感じたのは気のせいだろうか

成島出監督の中では「ちょっと今から仕事やめてくる」同様社会問題を真正面から捉えた強く突き刺さるメッセージのある作品、脚本が龍居由佳里さんとなれば引き込まれないわけがない

名優杉咲花ちゃんに関しては今更言うまでもないがそれでも進化を感じる新たな一面

志尊淳さんも凄く良かった。「フェルマーの料理」以降意識するようになった俳優(遅)

子役が殆ど話さない難しい役なのに素晴らしかった。何故だか万引き家族を思い出してしまう

真飛聖さんは立て続けの毒親役。毒親役が精錬されてきていて凄い

一方小野花梨さんは出てくる度に全く違う役柄を見事にこなしていて本当に凄いと思う。西野七瀬さんも同様に

大好きな池谷のぶえ様、余貴美子さん、倍賞美津子さん、金子大地君等少ししか登場時間が無いのに存在感と作品に奥行きをもたらす役者達がこの作品を高めているのは間違いない

多分ロケ地は九州なんだろうけど凄く良くて行ってみたくなる
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