やわらか

ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走のやわらかのレビュー・感想・評価

4.1
この映画、上映前のマナーフィルムに採用されたり、テアトル系としては結構宣伝されてたのにほとんど話題になってなかった。Filmarksのスコアも低めだったから、スベった地味なコメディ作品かと思ってた。新作ではスルーして名画座で観ようかなと思っていたら、ちょうどメンバーズカード優待日でタイミングが良かったので鑑賞することに。
 
トレイラーを観る限り、家族の乗った自動車が故障して、ドタバタハラハラしつつも最後は結束して脱出してハッピーエンド、みたいな感じの映画を予想していた。しかし、実際に観てみると開始20分ぐらいでそういう感じじゃないというのが分かった。
 
とりあえず家族全員、その他出てくる人物の印象が軒並み悪い。普通のコメディ映画、例えばちょっと前に観たイタリアの「Viva!公務員」なんかだと、おかしな性格のキャラが突飛な行動をしても、バランスを悪くし過ぎしないように「踏み越えない一線」みたいなのがあったと思う。
 
でもこの映画は、そんなものお構いなしのぶっ飛びレベルでブラックな暴走っぷり。夫婦間で致命的な浮気暴露があったり、子供が自分勝手な振る舞いをしたり。特にひどいのが主人公の父親で、熟年男性のあるあるなイヤらしさを5倍増しした感じで、嫁の嫌がるポイントをことごとく踏んで行く。この感じに似たものとしては、「ライフ・イズ・ビューティフル」の主人公の前半の態度がずっと続く、と言えば伝わるかなー?
 
俳優陣だと、主人公演じるジョゼ・ガルシアは、誰もが思うであろうロバート・ダウニー・Jr.のそっくりさん。アイアンマンの顔で性格が全然違うのでギャップが激しい。主人公の父親役のアンドレ・デュソリエは「赤ちゃんに乾杯! 」に出てた人なんだね。それがこんな酷いキャラを演じるとは・・・。
 
と、ここまで書いてきたネガティブな内容について、自分もはじめ30分ぐらいは合わないなーと思ってたけど、観て行くうちにだんだん面白く感じるようになってきた。他のコメディ作品みたいなちょっと日和ってる部分がなくて、クレイジーなバカさ加減が気持ち良くなってくるというか。連続で映画観て脳ミソのどこかがマヒしちゃってるからかもだけど。
 
この映画のレビューのスコアが低いのも納得で、特に日本人だと許容できる人と許容できない人ではっきり分かれると思う。間違って子供連れの家族で観に来たら雰囲気悪くなりそう。カップルでも結構厳しいかも。でも、自分は大好き!(←どないやねんっ!)
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