Sachika

メアリーの総てのSachikaのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.6
メアリーの総て
フランケンシュタインの作者、メアリー・シェリーといえば、英文学学んでたら100回くらい名前が出てくるし、特に自分の専攻が英国女性の文学やゴシック文学だったから、ジョージエリオット、ジェーンオースティン、ブロンテ姉妹あたりの名前と話はもう大学と院の時の研究室の先生に何万回話を出されたかって感じなのだけど。

そのメアリーを演じたのがマイエンジェルなエル・ファニング♡
ビガイルドのエロ可愛いのとは違って、少女・母親・作家の3面の顔をしていて、本当に素敵だった!すき!

若くて美しいメアリーが、なぜ「フランケンシュタイン」という怪物の話を生み出して、なぜ英国ゴシックの始まり=フランケンシュタインや、女性のゴシック文学=メアリー・シェリーと言われるのか。
メアリーが執筆に至るまでとその理由がわかりやすくまとまっているなーって感じの映画だった。

亡くなった実母のお墓でおばけの話ばかり読んで、自分でも書いていたメアリーが、詩人のシェリー氏と出会って、駆け落ちして、貧しい中で最愛の娘を亡くして。
それらの悲劇的な運命の中で、メアリーはフランケンシュタインを書き上げるわけだけども。

その時代、当初は女性作家の文学として出せずに、匿名で出版せざるおえなくて、それでも夫のシェリーが書いたとされてしまっていて。
実際はシェリーが亡くなったあとにメアリーが書いたと著者として名前を入れた様だけど、映画ではシェリーがメアリーが書いたと発表するシーンがあって、ハッピーエンドな終わり方だった様に感じた。

映画はタイトル通りメアリーの総てを書いていて、フランケンシュタインの本の内容にはほとんど触れていない。
(化学に興味を持っていたこととかがわかる様な、実験的なシーンはあったけど)
シェリーが「フランケンシュタインが生み出したのは怪物ではなく天使じゃいけないのか?」ってメアリーに聞いていたシーンがすごく印象に残ってるなあー。

一般的に知ってる人が少ないことで、フランケンシュタイン=あの頭にネジが刺さった怪物って思ってる人が多いのだけど、実際はフランケンシュタインは人造人間の怪物を作り出した博士の名前で、怪物に名前はないんだよね。
そのフランケンシュタイン博士に生み出された名前のない怪物が何なのか。
世間なのか、自分自身なのか、名前のないもやっとした何かなのか、メアリーの生涯を通して改めて考えさせられるなーって思いました。
Sachika

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