ひば

孤独なふりした世界でのひばのレビュー・感想・評価

孤独なふりした世界で(2018年製作の映画)
4.3
人類が絶えた街で一人、毎日家を周り片付け死体を埋める男と突然現れた少女。写真を集め図書館の貸し出し表を眺めその中に住まう人を眺め淡々と過ぎる日。出会いと別れという必然性に平常心を装いながら静かに何かに抗う心。何に縛られているわけでもないのに、決まった時間に決まった場所で決まった行いをする人間の虚無、だけでなく頑固さや仄かな善性が微かに世界に色を付け、それは荒廃した世界では秩序になる。やわらかな陽光と夕焼けに包まれ絶望よりも安らぎを近くに感じる。外界との線を見張る人間の奥ゆかしさが愛おしい作品でした。すごく良かった。たいして思い入れもない世界だと思っていればなおこんな世界は悪くないと思える。別に良い世界ではなくても、悪くないと思えれば結局はそれでいい。エルファニングちゃんの作品では一番好きです。「みんな滅べばいい」と思いがちな人間にオススメ。今日の夕日も綺麗だね。どんな日も平等に陽は沈む。
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