まこと

ハウス・ジャック・ビルトのまことのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.8
「建築家と技師の違いが分かるか」
久々に上映後、腰が抜けたわ…
ヤベー奴がヤベー殺し方をしていくのを150分観させられる。
なんてたってあの『ダンサーインザダーク』のトリアー監督よ。サイコパス描かせたら凄いことになるだろうなって思っていたから前もってハードル上げといたのに、余裕でハードル越えられたわ。ベリーロールでアッサリと。
カンヌで途中退席者が続出したというけど、まぁそれも分からんでもない。
ちなみに私が観た劇場では三人ほど途中退出者がいた。

殺人、死体遺棄、遺体損壊からもう何でもあり。
しかもそれをボウイの曲を裏で流しながらやってるんだから頭おかしい。ボウイが生きててあのシーンを観たら喜びそうだけど。
潔癖症と強迫観念から日本の笑いでいう"天丼"みたいなシーンがあって、観ている我々はいま笑ってええんか何を観させられとんじゃ…て気分になる。


終盤の展開は賛否両論間違いなしだけど、私的には"圧倒的映画アート"を堪能したようにも感じて最高だった。ダンテの絵(らしい。詳しくはよう分からん)の再現には震えた。刈り取る物としてのメタファー、大鎌にもグッとくる。
そして何と言っても、あの終わり方からのあのエンドロールであの曲。やっぱり頭おかしい(二度目)
こんな映画だけどサントラが欲しくなるのよね。


トラウマ必死!とかは誇大表現だと思う。いや、確かにキツイ描写多いけどさぁ。R18なのはグロよりも道徳的にどうなのってことだと思う。
『SAW』シリーズがイケる人は大丈夫…だと思う!『SAW』と『サスペリア』を足してタランティーノで割った、みたいな。たぶん。責任は取らん。
責任は取らんけど、是非色んな人に観て欲しい映画だなぁ。



二度目の鑑賞(6/22)
やっぱり後半の展開が特に好き。
特に地獄に降りていくあたりからの、まるで美術館に行ったかのようなアート性。ジャックにとっての楽園、草原を刈るシーンで涙するジャック。あれには彼の僅かに残る人間性を垣間見られる気がして好き。
いいんだいいんだ、皆が低評価でも。私はこの映画を傑作だと言い続けることにしよう。胸の中で。
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