ノラネコの呑んで観るシネマ

ゆれる人魚のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
4.3
80年代、退廃の都ワルシャワを舞台に、「人魚姫」を新解釈したミュージカル。
陸に上がった人魚姫はナイトクラブの歌姫として人気となり、バンドマンと恋をする。
基本的な流れはアンデルセンの原作と同じだが、最大の違いは人魚姫が一人でなく、対照的な性格の姉妹だということ。
いや原作の人魚姫にも姉妹はいるのだが、この映画では共に陸に上がって、2人でテーゼとアンチテーゼを形作るのだ。
愛を信じて海の泡となるのか、それとも愛の魔力から自分を守るのか。
思っていた以上にミュージカルシーンが多く、細部をすっ飛ばしたような展開はかなり強引。
しかしこの世界観ならそれも十分あり。
凝りに凝った美術や音楽の退廃美、思春期の性愛メタファーのグロテスクなホラー性と、裏返しの純愛の切なさは、「RAW」や「ビザンチウム」に通じる部分も。
姉妹がイルカの様なノイズで会話するのも面白い。
ブログ記事:
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