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赤線地帯のmajiziのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.5
溝口監督の遺作。

売春禁止法制定が目前の吉原、赤線地帯で働く女たちの群像劇。

戦後まもない時代にやむを得ない事情、訳ありの女たちが、この商売に身を投じる。

結局それも家族が原因がほとんど。
そこには男が絡む。父親や息子。

それなのに、彼女たちを買いに来るのもまた男。

そしてお上の決め事で失業するかもしれないという不安。

逞しくも生きていく姿は、とても哀しい。
運良く抜ける者がいれば、親に売られて来る者がいる。入れ替わり立ち替わり。

古代からあるこのお商売は、何がどうなっても無くなりはしないよね?
などと思ってしまうのでした…

個性的な登場人物に豪華な女優陣。
彼女たちの演技力と多彩さは見事。

そして音楽は、お化け屋敷みたいに妙におどろおどろしい。

90分と短めながら、味わい深い作品。
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