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赤線地帯の教授のレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
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溝口健二の遺作らしい。
「戦後」という時代が終わるということはつまり、新しいとされている流れというやつがその端境期のものを押し流していくだけのことだという無常感。

戦前からある売春宿で世間から不浄の目で見られる女たちには当然ながら個々の事情がある。
そもそもがここでしか生きられないからこそ、ここにいるのだということ。
そしてその場さえも取り上げられてしまうのが、時代が新しくなるということ。

親子の情も。
客と商売の関係も。
男と女の関係も。

上手くやったものが上手くいき。
金とどれだけ割り切れたかがモノを言う。

これが戦前と戦後の大きな違いで、戦後から始まった今に至る僕らの時代の根っこである。
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