若尾文子、三益愛子、木暮実千代・・。
それぞれの事情、それぞれの人生を抱え「夢の里」で働く遊女たち。
誰が主役ともいえず、それでいてそれぞれが過不足なく描かれている。
テンポよく、時に笑いを挟んで進む物語の中で光るのはちゃっかり者のあややと、そしてなんといっても神戸から来た不良娘・ミッキーを演じる京マチ子。
「無い袖、振れん」「八頭身やで」等々、観ていてすっかり彼女にやられてしまった。
しかし笑ってばかりもいられない。物語の行く末・・特に木暮演じるハナエ、三益演じるゆめ子、そして町田博子演じるより江の行く末はなかなかに残酷である。
(それまでもそうだったが)ここでの突き放した描き方とそしてエンディング、遊女の世界に踏み出さんとする少女の様子が出色である。
黛敏郎が織りなす不穏な音楽、特に冒頭のテーマ曲が耳に残る。