天津甘栗

最初に父が殺されたの天津甘栗のレビュー・感想・評価

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.3
以前カンボジアへ旅行した時、シェムリアップのキリングフィールドに訪れ弔いました。
ただ、ポルポト政権率いる残虐非道なクメールルージュ支持が広まった理由はよくわかってなかったんです。それが今作を見て腑に落ちました。
クメールルージュやポルポトの台頭は反米に起因したもので、結局アメリカのベトナム戦争介入が端を発した負の産物なのだと。

北ベトナム軍や解放戦線がカンボジア国境を跨いで潜伏していたため(いわゆるホーチミンルート)、アメリカがベトナム領土外であるカンボジアに侵攻し、ガシガシ空爆してたんですね。
当時カンボジアは親米政権だったのにもかかわらず(転じて親米傀儡政権だったから)、とばっちりを食う形で戦火に巻き込まれ、多くの犠牲者を生んでしまいます。
そら反発勢力が強まるわな…。

上記政治背景の説明は冒頭数分にとどめられており、ストーリーが進む上では状況説明を廃しています。
少女の視点で淡々とカンボジア内戦を描く、ドキュメンタリータッチの骨太な作風。

凄惨なシチュエーションながら時折りミスマッチな美しい絵が映し出されるなどセンスも光り、今後のクチビル姐さん監督作に注目したいと思う映画でした。

遺跡群を巡った際、木に赤いペンキが塗られた地雷注意の印を見かけました。
あの向こう側の地雷は幼い子供が埋めたものかもしれないと思うと居た堪れない。
天津甘栗

天津甘栗