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ブーベの恋人のtheocatsのレビュー・感想・評価

ブーベの恋人(1963年製作の映画)
5.0
ネタバレ
徐々に強固となる「愛の良心」「愛の貞節」

第二次大戦降伏後のイタリア。連合国は進駐しているがまだ大戦自体は継続中の1944年。

田舎にて日々を送る年頃の娘:マーラ。その家にいきなり訪問してきたレジスタンス青年:ブーベ。
その知らせはマーラの兄の戦死。一目で恋心を抱いたマーラ。青年も同様。
一旦はそのまま別れ、数か月後再び現れた青年ブーベは娘の父親に彼女との結婚意志を伝え父親も承諾。
一人マーラは蚊帳の外だったので怒るが、恋心とないまぜの心境のまま彼の親元へと出向く。
しかし彼はファシスト軍人を殺害したかどで憲兵から追われる身。彼女も一緒に隠れ家生活をしばらく続けるが、とうとう彼は国外逃亡を余儀なくされ二人はいつ再会できるか知れぬ「別れ」を余儀なくされる。

地元に戻っても彼女の居場所はなく街に出て勤め始める。そこで彼女を見初める新しい男性に出会う。
男性は真摯に誠実に求愛するが彼女の心にはブーベ。しかしブーベはついに逮捕され法廷へ。
ブーベの事を知ってもなお誠実に心を寄せてくる男性と、頼れるのはマーラだけという悲しい境遇のブーベ。二人の間で揺れ動くマーラが最終的に取った行動は・・・・




視聴感はしみじみとした余韻が心に残るいい作品でしたね。

世間知らずのマーラは可愛いけれどわがまま、やきもち焼き、甘えん坊の子供っぽい女の子。ところが、二人の男の間で揺れ動く年月を重ねるうちにしっとり落ち着き、とてもきれいで魅力的な女性になっていく。
そして男性の誠実でありながら熱烈な求愛に傾きそうになりながら、彼女にとって険しい道を選択する場面にはこちらも静かに胸を打たれる。

比較的きれいなモノクロ映像で視聴が苦にならず、男女のラブロマンスにおける誠実・良心・貞節の有様を鮮明に描き出した良質な作品と感じました。


総評五つ星

012009
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