Inagaquilala

あしたは最高のはじまりのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

あしたは最高のはじまり(2016年製作の映画)
3.4
南フランスのコート・ダ・ジュールで女性たちに囲まれて気ままな生活を送っていた主人公サミュエル(オマール・シー)の前に、突然赤ん坊を抱えた女性クリスティンが現れる。彼女は「これはあなたとの子供です」と言い残して、さっさと姿を消してしまう。困ったサミュエルは赤ん坊のグロリアを連れて、クリスィンを探してロンドンに飛ぶが、彼女を見つけることができない。途方に暮れていたサミュエルだったが、ロンドンの地下鉄の駅で、偶然、知り合った映画プロデューサーのベルニーに、そのアクロバティックな身のこなしが見初められ、スタントマンとして職を得る。ベルニーの家に寄宿させてもらい、思いもしなかった子育てを始めるサミュエルだったが。

このサミュエルが置かれたシチュエーションは魅力的だ。南フランスでは、ビーチのプレイボーイだったサミュエルが、自分の娘だと言われたグロリアに次第に情を移していき、いつしか自分の人生になくてはならないものだと思い始める。実はゲイであるベルニーと3人での共同生活はなかなか面白い。ただ、物語は、行方不明であったクリスティンの出現とともに一転する。フレンチ・コメディではあるが、ここらあたりからシリアスな展開となり、ある程度予測はできるサプライズ(予測できるならサプライズではないが)があり、軽妙な展開は少し滞る。

果たして、どちらに物語の重点を置こうと思ったのか、はっきりしないが、自分としては前半の展開がなかなか気に行っているので、後半はやや退屈に感じてしまった。アメリカで大ヒットをしたメキシコ映画「Instructions Not Included」のリメイクらしいが、こちらの本家も観てみたい。フレンチコメディのファンとしては、ややがっかりの作品ではあった。
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