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あしたは最高のはじまりのnodriguezのレビュー・感想・評価

あしたは最高のはじまり(2016年製作の映画)
5.0
南仏のプレイボーイ・サミュエルは、ある日、かつて一夜を共にした女性クリスティンから、「あなたの娘よ」と言われ、突然赤ん坊を預けられます。サミュエルは慌ててクリスティンがいるロンドンへと向かいますが、言葉も通じず異国の地で途方にくれるばかり。そんなサミュエルを救ったのは、ゲイな敏腕プロデューサーのベルニー。ベルニーの力でスタントマンとして働きながら、愛情をたっぷり注いで娘を育てますが、娘が8歳のとき、突然、母親のクリスティンから「娘に会いたい」という連絡が入ったのでした。
オマール・シー主演、父子の絆や親の責務、家族の在り方を通し、明日からの人生を力強く前向きに生きていくことを誓えるような感動作です。
序盤はコメディチックな展開ですが、成長した娘と暮らすパートでは姿をくらましていた母親が登場するなどの動きがあり、家族の在り方を考えさせられます。必要なウソを重ね、娘の孤独を守る父親の気持ちも分かりますし、そのウソによりいずれ傷つくであろう娘の失望にも共感できるため、中盤以降は胸が引き裂かれるような想いで鑑賞しました。ただ、母親クリスティンの振舞いや行動に関しては、終始一貫して、「人としてどうなのそれ?」という無責任さを感じます。が、クリスティンの立場も、それはそれで苦しいものがあるのでしょう。
見事に物語をミスリードしていたので、終盤の展開には泣かされました。悲しくて切ない、それでいて希望や明るさを同時に感じられるような良作です。
それと、オマール・シーの演技がやはり素晴らしいですね。コメディからシリアスまで、緩急をつけて情感たっぷりに演じられる俳優だと思います。
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