たつなみ

ビジランテのたつなみのレビュー・感想・評価

ビジランテ(2017年製作の映画)
4.0
2017年ラストレビュー。
正に入江悠監督の作家性全開という作品。
タイトルの『ビジランテ(自警団)』も皮肉が効いていて面白い。

狭っ苦しい世界の中でのしょうもない権力争いに翻弄される男たち。
長男の一朗(大森南朋)と三男の三郎(桐谷健太)の派手なシーンが目立つが、誰がなんと言ってもこの物語の主人公は次男の二郎(鈴木浩介)だと思う。
クソみたいな血縁や地域のしがらみに縛られつつ、それでも歯を食いしばってその世界で生きていこうとする二郎に強く共感せざるを得ない。
クライマックスのスピーチシーンは彼の様々な感情が伝わってきて胸が苦しくなる程の名シーン。

善良で押しの弱い二郎をしたたかに支える妻役の篠田麻里子も秀逸。
彼女のこの役回りは本当に素晴らしい。
やっぱりマリコ様は最高だ!
あと般若の地元のヤンキー感もめっちゃリアルで怖かった。

『太陽』といい本作といい、入江悠監督の作品は田舎特有のしがらみに対する大きなコンプレックス、そしてそれに向き合おうとする前向きな気持ちが感じられる。

辛い現実に直面したとしても、それでもここで生きて行くしかない。
来年も頑張ろう!

【2017年の終わりに】
今年は短編作品も含め、89本の作品に出会いました。
その中でも、川越スカラ座で塚本晋也監督にお会いしてサインを頂いたのは忘れられない思い出です。

私事ですが、来年は年明けすぐに転勤となり、単身赴任となります。
色々と大変な思いをする事もありそうですが、そんな時こそ大好きな映画を観て勇気を貰いたいと思っています。
フォロワーの皆様、今年も沢山のいいね!とコメントありがとうございました。
良いお年をお迎えください。