ヴァンダム

ビジランテのヴァンダムのレビュー・感想・評価

ビジランテ(2017年製作の映画)
3.8
最近邦画を観ることが多くなって、去年観た「22年目の告白」が予想以上に面白かった入江悠監督の新作なので期待して観てみたがかなりヘビーなノワール映画だった。

主演の大森南朋さん鈴木浩介さん桐谷健太の演技は文句なしに素晴らしかったし地元ヤクザを演じた般若はマジで恐かったこれで普段はヒップホップアーティストだとは思えない恐ろしさだった。

舞台が田舎だからこそ感じる窮屈さ閉鎖的な空間がノワール映画にはぴったりで抗っても抜け出せない沼地に感じた。
オープニングのタイトルが出るところが本当にカッコ良いただ同時に抜け出せない闇に引きずり込まれるような不穏さ不気味さがあって良かった。

最近の日本映画は規制が厳しいのにその中でもかなり性描写やバイオレンス描写が多くしかも見せ方がかなりエグい
特に桐谷健太演じる三郎が般若にある事をされるシーンは久々に映画で痛いって思った。

ただずっと救いがないので観ていて疲れたしクライマックスがイマイチでした。

大森南朋の静かな狂気、鈴木浩介の人間関係に囚われすぎて人間の弱さを見事に演じる演技力、桐谷健太の抑えた演技や所々に女性達に見せる優しさはとっても良かった。

俺も子供の頃義理の父親に虐待を受けていたから父親が死んでも自分の中ではまだ父親に囚われて恐れている主人公達を観ているとなんだか他人事には思えなかった特に三男の三郎には感情移入して観ていた。


日本を代表する映画監督になりつつある入江悠監督作の中でも多分これは集大成になった気がする。
もう二度とは観ないだろうが映画館で観て良かったと感じたしやっぱり入江監督は凄いなと思った一本です。
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