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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のkuutaのレビュー・感想・評価

4.5
ソダーバーグの『ダンケルク』と対になる作品。どちらも観るとその時代に海の両岸(戦略室と現場)で何が起きていたかがよくわかる。

今回、チャーチルがなぜイギリスで最も偉大な政治家とされているのか、この映画で初めてちゃんと理解した。(昔、ケネディ兄弟がキューバ危機に対応した『13デイズ』を見てケネディを見る目が変わったのを思い出した。過去の著名人って案外具体的な偉業を知らないまま名前だけ知ってたりする)。

成功したから英雄、英断とされるけれども、失敗していたらヨーロッパの勢力図や現在の世界のありかたをまるきり変えて「チャーチルの功罪は大きい」って伝えられていた判断でもある。大変な時期に首相になった。その重責は計り知れない。

映画ではチャーチルの不遜な態度だけでなく、プレッシャーに負けそうになる弱さや、時折見せる愛嬌、彼を支える女性たちも描かれていて全体的に愛すべきひとりの人間としてのチャーチルが浮き上がってきてとても良かった。

目を見れば彼だけど、ぱっと見はまずそう思わせないゲイリー・オールドマンの演技も圧巻だし、特殊メイクとは微塵も思わせない肌感や自然な顔の動きにも圧倒された。
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