逃げるし恥だし役立たず

孤狼の血の逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
2.0
「仁義なき戦い」を期待していたが肩透かし。柚月裕子の警察小説(日本推理作家協会賞)の映像化だからか、"警察小説"であればマル暴といえども警察組織であり、政治的な駆け引きがメインとなる。主人公達の暴走が理性で抑えられるのも致し方ない。
役所広司と松坂桃李との尊敬・軽蔑・憎悪が混在する複雑な関係性、映像やカメラワークによる暴対法成立前の広島県の場末感の演出は見事だが、人物の書き込み不足である。監察官やママに時間を割いているが、ヤクザ同士や警察とヤクザの緊迫した心理戦が無い。セリフが多すぎる割に極道達がスカスカに感じる。
ラストの江口洋介が石橋蓮司を襲撃するシーンは良かったが、今まで抗争を阻止してきた役所広司の警察人生の顛末が此の結果かと思うと松坂桃李の感情に任せた行動には甚だ疑問である。