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ジャコメッティ 最後の肖像のtamagoのレビュー・感想・評価

3.4
この作品は、ジャコメッティのお話で、原作がノンフィクションみたいなので、実際のエピソードも多いのだろうと思うと非常に興味深い内容でした。芸術家を描いた作品は、色々想像できて楽しめますね〜
妻にもバレバレで若い愛人と浮気して振り回されたりして、偉大な芸術家だけど、様々な奇行に近いことも赤裸々に描いており、やっぱりいわゆる普通の感覚の持ち主ではないからこそ、常人には描けないような作品ができるのかなと思わせてくれるリアリティがありました。
作品を何回も描き直してきるいる状況でも、すぐに気が乗らなくなって飲んだり食べたりして憂さ晴らし多いなと思いきや、実は散歩しながらの会話に核心をついたような会話があったりで、飽きさせません。

真正面からこの画家の内面に迫るような描写も面白かったけど、モデルになって振り回される役のアーミー・ハマーの抑えた演技も良かったです。
とにかく、顔が綺麗で、その美顔を舐めるように映し出すだけで、いつ完成するんだろうと焦燥に駆られるモデル側の感情を描き切っていて面白い演出だなと思いました。
ジャコメッティ役のジェフリー・ラッシュは、とにかく観てくださいという圧巻の存在感でした。
あと、愛人役のクレマンス・ポエジーさんが、テネットでの科学者役とは打って変わったキャラクターで魅力的でした。

シチュエーションは決して楽しい感じではないはずが、ある意味喜劇的にも見えてきて、パリの素敵な街並みと各シーンにぴったりの音楽により醸し出される独特の雰囲気が良かったです。
観終わって、IMDbで調べたら、ジャンルは、Biography, Comedy, Drama となっていたのを読んで納得。クスッと笑えるところもありましたので。
スタンリー・トゥッチ監督は脚本も書かれており役者でも監督でもいい味を出されていますね。
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