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ソウルメイト/七月と安生のIPPOのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
3.1
韓国リメイク版を見たので余韻を忘れぬうちに本家中国版を鑑賞。

お国柄のせいか、韓国版よりも「貧しさや田舎の閉塞感、女性に生まれたが故の自由の無い人生」みたいな重たさが全面に出てる印象。韓国版の方が「美しい田舎の済州島とザ都会ソウル」の対比が効果的に見えたのだが、本家版は田舎だろうと都会だろうとヒロイン2人が不幸な人生に見えちゃった。

田舎に留まるヒロインは韓国版だと「そこそこ無難にこなす地方都市の一人っ子の女の子」という設定だったけど(それが故に彼女の孤独は生涯唯一の親友の喪失という点に絞られ内面がわかりやすい)、本家の方は「大人になればなるほど自分が何も持ってないことに気付き、やりたいことも無く、彼氏に依存するように生きる…」という人生のピークが高校時代の女子の典型に…涙。

長くなりそうだから笑コンパクトに比較。
・ヒロイン2人にしかわからない強い絆
→韓国版の方が強く美しかった
・2人の間に位置する1人の男
→本家の方が意味を持った役割だった。本家を見たら韓国版は単なるイケメン枠起用に見えてきた。
・ストーリーテリングの運び方
→本家の方がわかりやすい。都会に生きるヒロインが消えた親友に成り代わってネット小説で2人の思い出を綴ってるのが早めに理解できる。韓国版は最後まで濁し続ける演出。

総合的には、韓国版の方が上質だった。リメイクの気合いのようなもののせいか。

あと、必要以上にブラジャー=不自由の記号 みたいな場面がたくさんある。韓国版でもブラジャーのくだりは「?」って思ったけど多分原作者の強いこだわりなのかね…なんて理解出来ました笑(両方見た人にはわかる)

ネタバレになってしまうので以下注意

とは言え、田舎娘の結婚式白紙のくだり、本家と全然違うのね!本家版の方が良い!「あなたは結婚式に来ないで。そうすれば私はこの街から出ていける」…ズシーンと来ます。何不自由無く手にして大人になった女の子は自分の人生を生きて来なかったことに気付いちゃったんだよね。親友といる時の自分が本当の自分なのかもしれないとリセットボタンを押す流れ。

中国のウーマンリブ的な知識はほぼないけれど、日本や韓国とはまた違う重苦しさが伝わりました。
韓国版、中国版と見て、日本でリメイクしたらペラくなるだろうけど田舎娘の方は有村架純でお願いしたいと密かに心の中で決定印。
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