中学時代から親友の２人の女性七月（チーユエ）と安生（アンシェン）と１人の男性の三角関係。ありがちな青春ラブロマンスを現代の中国を映し出す美しい映像と音楽にのせて描いた作品だと思っていたら大間違い。
ただの三角関係には終わらぬ、作品全体で描かれる七月と安生も愛おしくもあり切なく苦しい絶妙なまでの距離感にどんどん引き込まれていく。そして、終盤には観始めに思いもよらない以外な展開が・・・
最初は、苦手なラブロマンスながら、繊細な心理描写や美しい映像と音楽の演出に魅せられ、良質な三角関係物として観ていましたが、展開の面白さと主演２人の素晴らしい演技により、生き方の違いや恋愛の中で生まれる七月と安生の間の歪み、それでもそこに根付く確固たる信頼関係の深さに見事に惹きつけられていきました。
その上での、あのラストの展開。つい展開を先読みしたくなる自分ですが、これはやられました。演出面だけではなく、脚本も実に巧妙。多少出来過ぎた感もありますが、エンタメ作品としてかなり面白かったです。
この監督の作品では、皆さんのレビューで知った「少年の君」を以前からマークしてていて、あちらを先に観るつもりでしたが、時間の関係もあり同じく評判が高かった長編デビュー作である本作を先に視聴。しかし、この演出、この内容であれば、「少年の君」も面白い作品であることは間違いなさそう。さらに期待値が上がってしまいました。
