真田ピロシキ

ブライトの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ブライト(2017年製作の映画)
3.0
プロフィールにも書いている通り映画賞の話が嫌いだからTwitterもミュートしてて本日になって捕捉したのだが、何でもウィル・スミスが病気の妻の髪を下劣なジョークのネタにされて平手打ちしたそうな。それでアカデミーの連中はウィル・スミスの行為を「最も醜い瞬間」と非難して謝罪させたそうだが何それ?侮辱した奴は?それで笑ったセレブ連中の品性は?コイツらが如何に事なかれ主義で建前だけで動いているかを表してる。多様性?ハッ!笑えるね。こんな下らないイベントを徹底的に無視してる自分は正解。なんか『ドライブ・マイ・カー』が賞取ったらしいけど、最近アジア系にスポットライトを当ててるのも所詮アピールなんでしょ?我々アジア人はあんな奴らから栄誉を預かる必要なんてもうないんです。賞自体、客にはどうでもいい事と思うけど、やるならせめてアジア主体のもっと大きな賞が必用と思う。アメリカはアメリカで、ヨーロッパはヨーロッパでやってればいいのだ。

そんな訳でウィル・スミス擁護意思を込めて出演作を見ました。つっても実はウィル・スミスそんなに好きではないので乗り気ではなく、長くない適当なのを。本作はファンタジー種族が存在する現実とよく似た世界を舞台にした異種族警官バディアクション。映画が始まってすぐに目にするのは各種族の立ち位置を映し出す文化で、エルフがハイソサエティでオークが貧民なのはファンタジーに多少の理解がある人ならば如何にもと思える。オークの描かれ方はアメリカ映画における黒人のそれで、人種問題のメタファーが込められているのだと察せられる。主人公の一人であるオークのジャコビー(ジョエル・エドガートン)はオーク初の警察官で、種族ごとに就ける職業には明らかに壁があるのは現実に置ける人種の障害を反映されている。ジャコビーが警官になれてるのも多様性枠で仕方なくで、人間の警官には早く辞めるよう疎まれていて子供のようなイジメをされているのには腸が煮えくり返る。この人間警官どもがオークを排斥するのには人種の壁を超えてるのが差別ってやつの本質を描かれている。

そんな感じで掴みはなかなか良かったものの30分もすると飽きてきた。エルフもオークも見慣れているが、それはファンタジーという舞台の上にいるからで、実写のLAで人間と同じ格好をしたファンタジー種族を見てもどうにもノリが幼稚に感じてしまって。これが漫画やアニメ、またはゲームだと積みゲーにコーヒートークという異世界バリスタゲームがあって入り込めるが実写でやるにはまだハードルがある。ハリーポッターもあまり見てないし。一応魔法もあるが使えるのは極めて稀で2000年前には闇の魔王みたいなのとの戦いもあったらしいが、それらの存在と現実ベースの世界観との噛み合わせが悪く感じる。タイトルになっているブライトはそんな稀な魔法使いのことでエルフしかいなくて人間は100万人に1人の確率と言われてたが、絶体絶命のピンチに人間主人公のウォード(ウィル・スミス)がイチかバチかでマジックアイテムに触って発動させるのもまず展開自体が安直で、しかも言葉通り人間にしたのがつまらない。そこはさ、低確率でも出来ると言われてる人間のウォードより可能性すら考慮されていないジャコビーにした方が差別に対する反逆の物語を強められなかった?大体人間は多数派だから100万人に1人でもそこそこいるでしょう。話は薄味。

その代わりデヴィッド・エアーの持ち味はファンタジーでも現実世界ベースなのが功を奏してて、悪徳警官、ギャング、悪いエルフの殺し屋部隊と血生臭さと活気に満ちている。あの車椅子のギャングボスとかとても良い味してる。悪いエルフ達は景気良くギャングにSWATに血の雨を降らせて、そうやすやすとはやられないので主人公相手にも盛り上がる。『スーサイドスクワッド』とは雲泥の差。本来はあんなヌルい仲良しこよし映画じゃなくてこんなノリになってたのだろうか。