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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめのsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
ゾーイ・カザンかわいい!
ホリー・ハンターちっちぇ!けどすげえ迫力!
重いテーマを明るく笑う、ラブコメの新しい地平

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パキスタン出身の売れないコメディアン・クメイルはアメリカ人のエミリーと付き合っていたが、厳格にパキスタンのしきたりを守る家族は、伝統に従い同じパキスタン人で敬虔なイスラム教徒の花嫁しか認めない。母の希望に沿って形ばかりのお見合いをしていたが、そのことが原因でエミリーと破局。ところが数日後、エミリーは原因不明の病で昏睡状態に陥ってしまう。

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アカデミー賞までに見れてよかった。

スタンダップコメディのシーンを筆頭に、スベりとややウケの中間くらいの小ギャグが全編に散りばめられてた。一つ一つは大して面白くないけど、こうもハイテンポに(特にはドキリとするような辛辣なブラックジョークも)詰め込まれるとついつい笑っちゃう。

実際の二人は2007年に結婚してるから、劇中にあった出来事は2005年ごろなんだろか? どこまで実話ベースか分からないけど、そう思って振り返ると「パパはよくもあんな無神経な質問したな」と思っちゃう。アメリカ人のアラブ系の人々に対する無知と潜在的な恐怖感を逆手にとって、膝カックン食らわすようなギャグ展開が不謹慎かつ痛快で面白かった(・∀・)

異文化カップルとそれぞれの両親の話かと思ってたら、ギャップを越えてどうにか仲睦まじくできることを模索する話。異文化の壁に阻まれながも想い合う男女の話でもあるけど、親が子を同様に愛し心配する様を描いた映画でもある。特別大きな出来事で絆が深まるんじゃなくて、くだらない会話やヌルめのギャグなど些細な日常のヒトコマが信頼を作ってくのがリアル。


今作で初めて知ったゾーイ・カザン。20代前半のような若々しさがありながらも、成熟した女性としての凛とした強い佇まいが良かった。破顔一笑な笑顔も悲痛に歪む顔も可愛らしく、常に心が体を突き動かしてるみたいで良かった。調べたらエリア・カザンのお孫さんなのね!スゲー∑(゚Д゚)
勝ち気で感情豊かなエミリーのママ役にホリー・ハンターを起用したのも勝因。小さい体にエネルギーを満々に煮えたぎらせるオカンで、フランシス・マクドーマンドとはまた違ったMADなアメリカ母ちゃん像が素敵。


人種や宗教、伝統と自分らしさ、親子関係、病気……… 重く説教臭くなりそうなテーマを徹底して笑いに昇華させちゃう手腕が良かった。
ささやかな普通の楽しみを積む作りなせいか、ハイテンポギャグの割になんだかゆっくりとしか物語が進まなくてイライラする。事態があらかた収束した3幕目に至ってはハッキリ冗長。
ラストはオシャレすぎてクメイルさんの顔と合ってないトコに笑った

18本目
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