よねっきー

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめのよねっきーのレビュー・感想・評価

4.8
彼女の身体に蔓延る、難しいカタカナの名前がついた「大病」。みんなが心のどっかに抱え続ける恋とか愛とか夢とか、身近な「大病」。そして地球にウイルスのごとく棲みついている差別や偏見、つまり「大病」。行く手を阻む全ての「Big Sick」へと立ち向かう主人公はさながらヒーローだ。
なんとそのヒーローは実在していて、そのヒーロー自身がこの映画で主演を務めるのだから、文句の付け所がない。

実話ベースのこの映画は、なかなか上手いこと話が進まない。
なかなか彼女の病気は治らないし、家族とも打ち解けない。彼女の病気が治っても、全部上手くいくわけじゃない。それでも主人公はひたすら頑張り、耐え抜き、生きていく。そして最後に見える一筋の光と、お約束ではあるけどスタッフロールで明かされる「希望」の形が、あまりにも眩しくて。これぞ実話映画のあるべき姿なんじゃないかな。

そして実話だから、劇中で全ての「大病」が癒えるわけではない。差別っていう病原菌は、なかなか地球を去ろうとしないんだな。1人で戦ってどうにかなるものでもない。
でも、一人一人が「I abide!」と言ってその「大病」に耐え抜き、立ち向かっていくうちに、きっと乗り越えられる。それは「ビッグ・リボウスキ」か。ビッグ違い。
(上映時間も2分違いなのであながち偶然じゃないかもしれないです)

この映画のスタッフロールに「地球から差別は無くなりました!」なんて、入れられる日が来ると信じて。
よねっきー

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