えむ

勝手にふるえてろのえむのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.8
恋愛経験のない女子が、1人の男の子に恋して以来、暴走妄想女子まっしぐらで生きてる様子を描く、大九明子監督コメディ。

大九監督の描く女の子って、かなりエキセントリックだったりするけれど、そのくせどんな女子の中にも形とレベル違えど、こういう側面は無くはない、っていうところで妙に心に残ります。

この主人公は、自分の好きな人に絡むことになると、話聞いてくれる店員とかオジサンとか相手に持論展開、コミュ障でもなくむしろ変なポジティブさを発揮して恐ろしく頭が回る暴走ぶり。
あくまで、妄想の中では。

でも、そこを除いたら綺麗さっぱり普通女子、そこらに転がるOLなのが、ある意味恐ろしい。
頭の中を覗かなければ、普通なのだ。
だから現実に手の届く男が寄ってくると、それはそれで別枠のようにキープしちゃうのだ。

地味で普通の真面目な女の子も、回り回って捻れてこじらせたらこうなるのか。
その馬力と情熱、他にも使うところあるでしょうに。笑

最後がハッピーエンドで良かったと思う。
いくら目を向けても、こっちを見てくれない人もいるし、目を向けてないだけで、見てくれてる人だっている。

アンモナイトグルグル触ったり(頭の中の妄想グルグルみたい)とか、靴を雑に脱ぎ捨てたり、その靴をはいた足をブランブランさせたりする足元描写とか、地に足ついてないとか心理がわかるような、そういう細かい何気ない描写は結構好きです。


松岡茉優ちゃんって、どこにでもいそうな、私たちの日常に紛れても違和感ない雰囲気を持つ女優さんでありながら、きっちり『普通』も『ちょっと変な子』も演じられる。

シーンによってしっかり周囲に『埋没』してるし、それ以外ではめちゃくちゃ浮き上がってるし、彼女だからこそ面白い作品だと思います。
えむ

えむ