みかんぼうや

勝手にふるえてろのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.0
【妄想癖ちょいメンヘラ女子を好演する松岡茉優がただただ凄い!絶妙な演出と松岡茉優のバランス感抜群の演技で、ラブコメ免疫低めでもしっかり楽しめる良作】

私が苦手な映画ジャンル:ホラー、ハリウッドのヒーローアクション、そしてラブコメ(特に邦画のラブコメ)。そう、本作は最後に挙げた“邦画ラブコメ”に思いっきり属する作品なわけで、本来なら真っ先に選択肢から外してしまくらい自分から選ぶことはない作品なんですが、フィルマのレビュアーさんの多くが高い評価をつけているので、ずっと気になっていて、今回U-NEXTで一旦配信終了のようなので、“はずれる”覚悟で視聴。

いや、これ、本当に面白い!またもや固定観念、先入観を思いっきり打破され、「映画、食わず嫌いするべからず!」を痛感させられました。フォローしているレビュアーの皆さん、私の人生に新たな気づきを与えていただき、ありがとうございました。

現実と理想(いや、妄想)の恋の中でもがき続ける妄想癖でちょっとメンヘラ気味だけど、どこにでもいそうな経理女子の良香(よしか)を演じる松岡茉優がとにかく凄い!他の作品のレビューでも彼女の演技の上手さを何度か書いてきましたが、こういう“映画的でわざとらしい”コメデュ演出盛りだくさんの言動をするキャラクターを“わざとらしくなく自然”に演じてしまうのが本当に凄い。松岡茉優に “ハマり役”なのではなく、松岡茉優がこの役にしっかり“ハメきっている”のが、彼女の女優力の凄さだと思いました。

「普通にどこにでもいそうだけど、意外といない個性的な人」という良香のキャラクターは、演技がオーバー過ぎると見ている側は引いてしまって作品と距離ができて入り込めないし、逆にある程度ふっきって演じられないと、作品全体の色が薄くなりコメディとしてはつまらなくなってしまう。そういう意味で、松岡茉優の演技は、本当にそのバランスが取れた“絶妙”なところに着地していて、ただただ素晴らしいと思いました。本作で様々な映画賞の主演女優賞を獲得したというのも納得。

そして、その“バランス感”は演出にもあらわれていて、テンポの良さ、落ち着いた現実の日々とエクストリーム状態の妄想女子モードの緩急のつけ方が見事で、最後まで終始ニヤニヤしながら観ていたのでした。

作品終わってから知ったのですが、原作は綿矢りさだったのですね。さすが!というほかありません。邦画ラブコメ、舐めるべからず。食わず嫌いせず、もっとちゃんと開拓して観てみよう、と思わされました。これまで本当に観てこなかった分野だけに、これから皆さんのレビューを読んで研究せねば・・・何かお薦め作品がありましたら、ぜひ教えてください!
みかんぼうや

みかんぼうや