メランクさん

勝手にふるえてろのメランクさんのネタバレレビュー・内容・結末

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

非常に月並みな感想でしょうが、松岡茉優が最高です。
この作品の最大の魅力はそこでしょう。

妄想を膨らませているところにも、現実の壁にぶち当たっているところにも説得力があるのは、彼女の表情の柔らかさがあるからだろう。

しかし、ポップなルックに反して内容は重かった。
「物語」によって逃避していた現実はやがて彼女を捉え、世界は崩壊していく。

前半でいきいきと描かれていた彼女はすべて妄想の話なんだということをミュージカル調の歌で盛大に歌い上げると、もう完全に孤独の彼女だけが残され、玄関で泣き崩れる。

幸いなことに「二」という現実との接合部があることで彼女は何とか生き残るし、今作は感動的に締めくくられるけれど、そんな都合のいい存在なんかなかなかいないよなぁ。

とはいえ、現実の適応に苦しむ若い女性の痛々しさ、もろさをこんなふうに描かれるとたまらないものがある。
素晴らしい作品でした。