真田ピロシキ

ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.4
完結編のEUREKA公開を来月に控えて見た。と言っても前作のハイエボリューション1があまりに酷かったのであまり期待も出来ず見始めると困惑。石井・風花・アネモネなる名前で父との日々を語られるアネモネにえっ?アネモネの設定は確か…そもそも舞台が東京?と次々と浮かび出るクエスチョンマーク。ポケットが虹でいっぱいみたいな位置付けだとしても前作との整合性は取れないしで、そしたらアネモネが何するのかと言うと東京に現れたエウレカセブンという侵略者に対してマトリックスみたいな感じでアバター化した意識を潜り込ませるんですよ。それで内部からぶっ壊すという計画らしく、そこではお馴染みジ・エンドに搭乗して戦う。しかしその映像はドミニクが描き加えられてる以外はTV版の使い回しで画面サイズも小さい。前作同様に変な総集編を見せられるのかと警戒した。嬉しい事に思ったほど流用カットは見せられずほとんどが新作画で、ストーリーも今回は完全独自路線に走ってて少なくとも目は離せない。エウレカの話ぶりだとTV版すら本当の出来事ではなくこの映画シリーズこそシン・エウレカセブンとして位置付けられる事になりそうだが、今作で盛り返したとは言え本シリーズがそんな事して納得させられるかまではまだ未知数なので思い切ったものである。しかもエヴァと違ってこっちはTVシリーズで綺麗に纏まってた訳じゃないですか。これはなかなか面白かったしそこまで自信があるのなら来月の映画は観に行きたい。

アネモネの世界は現実世界とほぼ同じなので巨大人型兵器などなくて通常の戦闘機や艦船でエウレカセブンが繰り出したニルヴァーシュの対応をしている。そこには最高にアガったハイエボ1冒頭のド派手な戦闘などはないのだけれど、ニルヴァーシュが放ったミサイルを必死に撃ち落として避けようとする姿などが細かく描かれていて、その顔も見えない人達の必死さが伝わってくるから後にアネモネが言っていた多くの人のおかげでここまで行けたという風な言葉に重みを感じ取れる。またクライマックスではドミニクと共にこちら側にやって来たジ・エンドがTV版ではお馴染みガリバーと同化したガリバージ・エンドとして戦いを繰り広げるが、主人公も敵側も機体がほぼ有機体なので、今までよりもエヴァのようなアニメとなり、いやこれはアネモネが言ってた通り最早怪獣決戦のようでユニーク。エウレカセブンの内部ではガリバーがゆるきゃら系の姿はそのままにランゴリアーズ的な世界を喰う化け物として大群を成して追いかけてくるのが怖く、このアニメはロボットアニメではなくファンタジーアニメとして捉えるべきかもしれない。エウレカを連れたアネモネが空を飛ぶファンタジーとしての絵がね。気になったのはエウレカの顔が妙に幼くて、このシリーズではモーリス達を引き取ってなさそうなのとレントンが死んだ事で心を閉ざした事の現れなのかもしれないが、アネモネも丸っこい顔してたしね。こちらに現れたニルヴァーシュを見る時にはTV版のようなエウレカになってたのでそこは分からなかった所。最後のレントンは少し大人びた顔立ちをしてたので、これも完結編に向けたヒントなのかも。