2024.7.31(Wed)
岡崎京子原作&吉澤亮に惹かれて鑑賞。
吉沢亮美しすぎな。台詞も動きも少ない中で、一つひとつの言葉や所作に演技の巧さが滲み出ているのがよくわかりました。特に田島の最期を見たときの「俺はこういうことが起きるのを待ち望んでたんだよ」っていう歓喜と狂気の入り混じった顔が、徐々にクロースアップしていく演出も相まってやばかったです。
観音崎とルミは私がイメージする平成初期DQNの典型で、そういう人々が破滅していく様が生々しかったです。それぞれの境遇にあったらぐれる気持ちもよくわかるし、思春期の子供がそれに対して上手くコーピングできないのもよくわかるけど、それでドラッグとかセックスに走るのも短絡的な気がしてしまいました。かと言ってどうすればよかったのかは何とも言えないけど。
ルミの姉は姉で事情はわかるもののあそこまでやるか?って感じだし、田島も嫉妬する気持ちはわかるもののあそこまでやるか?って感じだし、家庭環境とかコンプレックスとかはもちろんあるだろうけど、なんか皆がみんなそれぞれやることが過激すぎました。それとも私の世代や私の周りが穏やかなだけで私の知らない世界では普通のことなのだろうか。
あと1つ気になったのが、度々インサートされるインタビューはいつ誰がどんな目的でしたものなのかということです。同じような演出があった『ヘルタースケルター』はりりこの一件後に事情聴取とかがあったのかなと想像できるけど、田島が生きているということは事件前後それぞれのタイミングだろうし。それか登場人物の心情を吐露させるための単に演出としてのインタビューなのかな。それが気になりました。
登場人物がほとんど狂っている中で、高校生ながらヘビースモーカーな点を除いてハルナだけが唯一まともで、その分傷ついていた印象だけど、でもあれだけクレイジーな人たちに囲まれても人格が変わらないの強すぎなのではというかもはやそれがハルナのクレイジーな部分なのではと思いました。
薄暗くてドロドロしたストーリーなのに最後に何となく甘酸っぱさ、切なさ、爽快感みたいなものがあって不思議な後味でした。それはほとんど狂っている登場人物の中で唯一まともなハルナが周りに汚されることなく山田に対するピュアな気持ちを持って、まっすぐに前を見ている姿があるからかなと思いました。