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華麗なるギャツビーのNのレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.7
2022.8.7(Mon)
大学生の頃に授業で扱ったものの、レオ様祭り開催にあたり再鑑賞。

大学生の頃は作品分析とか研究的な視点にばかり注目していたから、この作品がそういう観点において優れていることはわかりつつ話には特に魅力を感じていませんでした。でも研究的視点から離れて、歳と経験も重ねてフラットな状態で今回観たら、こんなにロマンチックな話だったんだなぁとビックリ。

ギャツビーがなぜグレートなのか、なぜこの作品が長く愛されるのかも理屈じゃなく情緒的な面からよくわかりました。
出自や戦争といった逆境にも負けず上を目指し成り上がるガッツ、巨万の富を手にしても周りのように欲望に流されず、ただ1人を愛し続けてただ1人のために全てを捧げるパッション。
ギャツビーは「過去は変えられる」と信じて疑わないくらいめちゃくちゃロマンチストで、それが実際に実現する一歩手前までたどり着けちゃうくらいの能力と行動力を備えた完璧主義者で、そこが魅力的だしだからこそ成功できたんだけど、だからこそ失敗したとも言える。完全に過去に戻ることに拘らなければ、デイジーは過去にトムを愛していた事実にとりつかれず、今の状況だけを見てギャツビーを選んだかもしれないのに。普通に考えて過去は変えられないし時間は進むし、その感覚がギャツビーとデイジーでは違ったことが上手くいかなかった要因の一つに思われます。でも結局デイジーもその他大勢と大差ない薄情な人でしたよという。恋は盲目とも言うけど、それを見抜けなかったギャツビーのロマンチストな気質が仇になった感がやるせない。でも仮に出会った頃のデイジーがギャツビーに見合う内面を持ち合わせていた人だったとしても、それを変えてしまうくらいの空気感だったのがあの狂乱の時代で、それでも軸を持ち続けたギャツビーはやっぱりだからこそグレートなんだよな。
パイオニア精神だとかアメリカンドリームの敗北だとかっていう用語で固めなくても、というか固められないくらい今にも通用するストーリー性が素晴らしい。

バズ・ラーマン特有のゴチャゴチャ感がとてもよかったです。ファッションとかパーティーのシーンとか。まさに狂乱って感じ。サントラもよかった。
エリザベスデビッキが美しすぎました。デイジーは可愛い腹黒系だからデビッキが出来ないのはしょうがないけど、キャリーマリガンが完全に食われてる感がありました。なんでギャツビーがデイジーにあんなに魅了されているのかっていう説得力に欠ける。デイジーの行動とか内面に魅力を感じないのはしょうがないからせめて外見の美しさだけでも説得力がほしかったです。単に好みの問題かもしれないけど。
そしてレオ様。小説を読んで「極上の笑顔」ってどんな笑顔だろうと胸をふくらませていたのでこれが〜?ってちょっと残念感はあったけど、それ以外は安定によかったです。
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