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心と体とのcoroのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
4.4
瞼を閉じると見えてくる、不自由な心と不自由な体を結ぶ静謐なひととき。
柔らかな音色の雫がぽつりぽつりと零れ落ちてきて、孤独な人を目覚めさせる。そんな閑けさが心に沁みるオープニング。

心と体を遮られ、否応なく終焉を迎える生きものたち。限りなく細い管の中を彷徨いながら流れ出てくる清らかな動脈色の液体は、どれもがまだ温かそうで、体は死に絶えても魂はまだ生きていると感じさせてくれる。そんな畏敬の念を深く感じる描写が彼方此方に点在している。

パーソナリティ障がいを抱えた彼女が見せる所作や仕草はどれもが印象的で、窓越しから覗く心のひだは繊細。眠りの前にゆっくりとあるべき姿に戻っていく靴でさえ生きているように見える

お気に入りのフォロワーさんが仰られていた通りこの静謐な空気に囚われてしまい、朽ちかけていた手と手(心と体)が重なり合ったとき、私の心も体も、呟くように落ちていった…

大好き
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