むさじー

はじまりの街のむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりの街(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<孤独な母子の再出発と、支える人々の優しさを描く>

DVから逃れた母子が人生をどう立て直すかというテーマとともに、トリノという街に集うよそ者が抱える孤独の物語でもある。
カルラは親の家を譲り受けているものの売れない舞台女優、その他は移民だったり、辛い過去を持っていたり、登場人物はすべて社会的弱者。
そんな人たちが思いやり、支え合ってささやかな幸福を感じている、そんな映画である。
DVものという先入観からドロドロしたストーリーを予想したが、意外に爽やかで、特にドラマチックな展開はなく、やや予定調和的な印象も持った。
登場人物がほとんど善人というのも社会派リアリズム映画の在り方に反するし、DVや親子関係の描き方も掘り下げが浅く、メッセージを弱めている。
しかし、各人のキャラ設定が素晴らしく、人と人が繋がる優しさがにじみ出ていて、ヒューマンドラマとしても、ヴァレリオ少年の成長物語としても、素直に感動できる。
抑制の効いた映像で、トリノの街並み、風景も美しい。
ただ、エンディングのシャーリー・バッシ―の歌は力強すぎて、やや違和感があった。
むさじー

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