モードとエベレットの不器用なコミュニケーションの在り方、そして、長い時間を掛けて少しずつ寄り添うようになってゆく様子に、驚いたり、微笑ましかったり、哀しかったりと、常に感情を揺さぶられ続けた。
無骨ながらも、小さな家のそこかしこに絵を描くことを許したエベレットはおそらく、モードにとっての初めてのファンだったのだろう。
七頭の牛で運べてしまうような小さな家での、慎ましい暮らし振り、互いを必要としたふたり。
幸せとか愛って、きっとこういうことだ。
エベレットが押す荷台に乗ったモードが様々な季節で描写されるのだけれど、その様子がとても微笑ましく、観ているこちらまで幸せな気持ちになってしまう。
結婚初夜に踊りながらの、古い靴下の話が最高にロマンティックだった。
サリー・ホーキンスとイーサン・ホークの演技も、真に迫っていて、名演。
あくまで個人的には、だけれど、タイトルロールを演じたサリー・ホーキンスに至っては、「シェイプ・オブ・ウォーター」ではなく、本作の演技によってアカデミー賞の主演女優賞にノミネートとなり、その上で受賞もして欲しかった。
色彩豊かで温かなモードの絵を、私も家に飾りたくなった。