あおや

デトロイトのあおやのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.6
1967年、合衆国第5の都市デトロイトにおいて発生したアメリカ最大規模の暴動。暴徒化していく黒人とそれを鎮圧するため対応する白人警官という構図。そんな中あるモーテルで白人警官のいきすぎた違法尋問が悲劇を生むこととなる。世界に大きな波紋を呼んだ「アルジェ・モーテル事件」を題材にキャスリン・ビグローがメガホンを取ったノンフィクション話題作。

鑑賞中からあまりの状況に驚くばかりであったが、なによりあの白人警官に対して司法が“無罪”という結論を出した事実に驚きを隠せない。あの状況からなぜ無実という結論が出てしまったのか、映画だけでは伝わらない部分もあるが本当に恐ろしい歴史だ。作中では当時の実際の写真や映像が織り込まれていて、よりリアリティと重みを感じられる構成となっている。

近年も黒人に対する白人警官のいきすぎた暴行や発砲といったニュースはちらほら耳にするが、こういった歴史があるにも関わらず未だにそのような事件が起こってしまうことは悲しい限り。この手の人種差別映画はいままでもいくつか見てきたが、さまざまな時代において、さまざまな階級の人々が、さまざまなレベルでの差別を受けていて本当に根深い、根深すぎる。とつくづく痛感する。
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