とえ

ありふれた悪事のとえのレビュー・感想・評価

ありふれた悪事(2017年製作の映画)
3.5
サスペンス映画かと思ったら、ガッツリ社会派だった

1987年の韓国で、民主化を求める声が高まる中、国は犯人をねつ造してまで検挙率をあげようとし、国の強さを誇示していた

そんな中、主人公の刑事は国のねつ造に加担し、次第に泥沼へとはまり込んでいく

韓国映画を観ていて、いつも不思議に思っていたのは、
なぜ、これ程までに「汚職や賄賂が多いのか」ということ。

その謎が、この映画を観て理解できたような気がする

出世のために金を使う者と、それを受け取る者がいて
受け取る側が貧しいと
「家族のために」止むに止まれず受け取ってしまう
受け取った者は、金を払った者の命令に従い、金を使った分しっかり出世する

当時の安全企画部と警察は、その仕組みで世界を回していた

人の弱みに付け込み、うまく利用した者が出世できる

その仕組みがとても興味深かった作品だった

自分が出世するためなら、人の命を消すことさえ厭わないエリート検事をチャン・ヒョクが演じていて、その意外性が面白かった

1987年、韓国の情勢が激変していく様子を感じ取れるのも、この映画の面白さの一つだった
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