猿橋

テキサスタワーの猿橋のレビュー・感想・評価

テキサスタワー(2016年製作の映画)
4.5
犯人の姿は見えないまま塔から降ってくる弾丸、50年前の記憶、テキサスの真夏の真っ昼間の日差し、焼けるアスファルトに寝転んで見上げた青すぎる空、危険もかえりみず駆け寄る女性の赤い髪、お腹の中の動かなくなった赤ちゃん…あらゆる意味での「現実感のなさ」と、ロトスコープという表現方法がぴたりと一致している。当事者の声を敢えて当時の年恰好で再現する、というのも見事。すべてを包むモヤを突き破って自分のなすべきだと思ったことをなした者の尊さと、その後の無力感と、それでも残るもの。ドキュメンタリーというより、昨今隆盛を極める「最後にご本人が登場するアメリカ実話物映画」の決定版、すごい映画でした。
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