鰯

ホンモノの気持ちの鰯のレビュー・感想・評価

ホンモノの気持ち(2018年製作の映画)
4.0
それはホンモノ?

人間関係の向上に取り組む企業でデータ分析を担うゾーイ。同僚のコールは、人間の感性に寄り添うロボット(=シンセ)の開発に取り組んでいた。ゾーイがコールに抱いていた恋心を明かした日から、彼女の世界は大きく変わることになる

ブレードランナーと現代社会をつなぐようなSFでした。ブレードランナーのように階層を築くほどアンドロイドが存在してるわけではないけれど、今よりも普及している。単純労働の従事者で、明らかに見分けは
つくけれど、生活には馴染んでいる。そのうえで、かの作品と同じように「愛」に焦点を当てている。アクションや未来感のある都市は出てこないけれど、開発者が吹き込もうとしたこと、シンセ自身の自己認識などは共通しているように思います。それとアンダーグラウンドの描写も非常に良かったです。売春や薬の描き方も妙に地続きのような感覚がある。

ゾーイ役のレア・セドゥから受けるイメージをうまく活かしたキャラクターだと思いました。キャスティングは彼女以外に考えられません。終盤の展開も彼女だから受け入れられました。
恋愛映画としても、かなり痛々しい関係に展開していく様子が良かった。受け入れたいけど、受け入れられない複雑な心情が辛かった

音楽のチョイスも非常にいい。居心地がいいようなちょっと悪いような不思議な空気がずっと続いてました。
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