このレビューはネタバレを含みます
言葉を話せないイライザと研究対象として捕まえられた半魚人の出会いの物語。
元々言葉を話せないイライザは、むしろ言葉を超えた心のやりとりをする力を身に付けていたのではないかと、親友とのやり取りを見ていて随所で感じられました。
言葉を話せない事を逆手にとって手話でストリックランドを騙し、罵倒するシーンの連携は長年の付き合いを感じさせる素敵なシーンだと思いました。
ジャイルズに対して、彼は言葉を話せない事すら知らず、ありのままの私を見てくれると語ったイライザの感情剥き出しの手話にはとても引き込まれました。
神として敬われていた半魚人が、本当に神なのかと思わせるような奇跡を起こしていくのですが、最終盤、ストリックランドから奪った物と、イライザに与えたものを見たら、言葉は分からなくても本質の部分を見抜いていたように思いました。
イライザや自分自身が非常に傷付けられたストリックランドから、「言葉」を奪っている事。
イライザが言葉を失った事やその原因も理解した上で行動していたように感じました。
そしてなんと言っても水中でイライザに起こした奇跡。
イライザが声を出せなくなった原因を、自分とともに過ごすための力へ変えたというのが本当に素晴らしい描写だと思いました。
心の動きを美しく描いた作品だと思いました。