本当は、この姿を一番に見せたい相手はあなただった。あなたに褒めてもらえたら、の一心で突き進んでしまったあの日。守ることの怖さと大切さを、象の墓場に置いてきたのが、どうあがいても取り戻せない間違いで。
喪失によって生まれた空白に、新しい風が吹いていた。目を背けるところから始まったあの日の埋め合わせを、ちゃんと星空の下で思い出せたこと。自分が誰なのか、本当はずっと覚えていたから。故郷に近づくたびに、胸の鼓動があの日々を蘇らせる。
大好きな幼なじみでも、懐かしい母親の横顔でも、やっぱりあなたの力強い声にはかなわない。あなたに背中を押されて、いつまでも追いつけない、いつまでも追いかけていたいあなたの大きい背中を、もう僕はひとりで越えていくよ。あのときの未熟さにさようならをして、僕にしかできない方法で、あなたに恩返しをさせてほしい。
巡り巡る命の環を、あなたから引き継げたこと。この世界に命を受けて、最も光栄なことでした。