図師雪鷹

ライオン・キングの図師雪鷹のレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
4.3
ライオンキングは馴染み深い。アニメ版だけでなく劇団四季でも2回観たので、ストーリー上忘れていることはほぼないという状態で観に行った。


昨今、相次いでディズニー実写映画が上映されているが、私は、この超実写版ライオンキングは、それらの作品の中で、一番実写化した価値があった作品だと感じた。



最新のVRによって新しく作られたライオンキングの世界観は、自然や動物がリアルに表現され、観客は大きな没入感を感じられる。
リアルな映像が生み出すのはそれだけではないだろう。少なくとも私は、シンバを始めとするキャラクターがほかのバージョンとは全く違うように見え、新鮮味を覚えた。内面はほぼ変わらないはずなのに…。これは、私がこの映画を体験した上で一番の収穫である。
恐らく(というか確実に)、監督やクリエイターたちは野生動物の動きを研究し、キャラクターの動きに盛り込んだのだろう。昔、自然ドキュメンタリーが大好きだった私は完全に心を掴まれてしまったのだ。


演出も全体的に引き締まっていて良かった。特に、"He lives in you" の部分は忘れられない。死んだ父と再び出会い自分の道を明らかにするシンバ、明るみはじめた夜空をバックにシンバを見送るラフィキの姿には心を打たれた。

そして、もう一つ忘れられないところが。
シンバの毛が風に乗っかって漂っていき、巡り巡ってラフィキの元に届くシーンである。
この一連のシーンが、作品のテーマである " サークル・オブ・ライフ" を一層引き立てているように思え、その環の中で懸命に生きる生命の瑞々しさを感じることができた。もちろん、このシーンには、実写版だからこそ実現可能なリアルさが大いに役立っている。


これぞまさしく" キング・オブ・エンターテイメント"。
図師雪鷹

図師雪鷹