異様なほど過保護な両親のもとで育った女子大生が初恋を火種に眠った力を覚醒させてしまうSFスリラー。
現代パートで一向に話に上がらない幼児の弟との何らかを巡る過去パートなどで不穏な気配を漂わせつつ、スリラー成分は後半に至るまで少し薄めに感じた。
監督の中でスリラーというより、1人の女性が家族のしがらみから己を解放し欲望のままに動き出すまでの、心情に寄り添ったドラマ要素に重点を置いてるんだろう。
中盤までは両親の抑圧から能力に覚醒していくっていうストレートな爽快感を持ってみれたけど、物語は弟くんの過去パートを契機に、幼少期から持つサイキックパワーの暴走を両親がなんとか止めようとして宗教の力で抑圧して育ててた…とも取れる描き方になっていて、お話の切り返しとしては面白いが現実にある背景を考えるとなんか複雑。
実際に宗教で抑圧的に育てられた事で何かが得られるなんて事そうそうないだろ。
サイキックで異次元（？）に一瞬で想い人アンニャが吸い込まれるシーンが中々怖くてよかった。ガラスが割れて窓の外に吸い込まれて一瞬でガラスがもと通りになる。それで髪の毛だけがガラスにめり込んで外の風に当たって半分だけそよめいてる。
この半分そよそよ描写みたこと無くて地味ながらすごい面白かった。
両親に好きな人ができた、愛し合ってると伝えると、やめなさい、わかってるでしょ？あなたが本気で願えばそれに拒絶することなど起こりえない、と諭されるシーンが毒親っぽくて辛いけど事実なんだとしたらとんでもないモンスターやん…て頭抱える。
羨ましいパワーだけど人との関係も信じれなくなっちゃうなら悲しいなー
なかなか印象深かった。
現実改変能力って最強だなあ…
