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テルマのkassyのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.7
オンライン試写会にて。

ラース・フォン・トリアーの甥、ヨアキム・トリアーの最新作。

冒頭から不可思議なオープニング。
何かがおかしい。
少女の大学生活は一見平穏である。
しかしやはり何かがおかしい。
全編にわたり北欧の冷たい空気と不穏な空気が流れ、とにかくミステリアスなのだが、一つ一つのカットが美しくハッとさせられる。静謐で禁欲的な中で時折エロティシズムも垣間見えるのが、とても動物的である。

北欧ホラーとジャンルづけされているが、どちらかというと宗教的で神話的な印象のサイコスリラーと言った感じで、ホラーが苦手な私でも問題なく見る事が出来た。
大仰に脅かしたりだとかはせずに不可思議な事件が起こるのがジワジワと心理的な恐怖を与える。しかしその恐怖は理不尽ではないのであまり嫌な感じがしないのだ。ただ、主人公の彼女が不憫に思えてきてせつなくなるのである。

主人公が選んだラスト。その表情はどこか晴れやかだ。
意識的であり無意識でもある取捨選択をした故の晴れやかさ。
彼女の行く末が気になるラストだった。


本作が初ヨアキムさんだったのだが、これを見て思ったのは、意外とイカれてなくて理性的な匂いを感じるので、ヨアキムさんはわりかし常識人なんじゃないだろうか。
おじさんはやっぱりブッとんでる。
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