神に背く許されぬ初恋は、封印されたはずの恐ろしい力を呼び起こす。
イノセント・ガーデンを想起させる幼少期の衝撃的なプロローグや、覚醒の序章とも言うべき図書室での一連のシークエンスは圧巻。落ち着いたターコイズブルーを基調としながら次々と始まる更なる不穏にどんどん引き込まれていく。
以下ネタバレになるかも
信仰心が深く厳格な家庭で育ったが故に罪悪感に苛まれるテルマ。敬虔なるが故に彼女を否定する両親。彼らが相反することは宙を彷徨う言葉が教えてくれる。
何かが変わり始めるときに必ずと言っていいほどまとわりついてくる枷が重苦しい。色香が匂い立ったりするとすぐさま厳粛さが顔をのぞかせ、それが更なる官能を呼び醒すシーンは特に印象的。心の中に溜まった澱が一気に解放されるように見せておいて、そうはならない描き方も好き
覚醒するエンディングにカタルシスを感じられるかどうかは見る人の感性に委ねられそう