チャンスにドアノブはついてない。
主題歌の「無限未来」って……
そういう意味か……!!!
観終わってからしばらくは放心状態で、レビューに書く色んな言葉が思い浮かんでは消えての連続でした。
競技かるたは僕の人生に微塵も関わってませんが、本作はまさに今の自分に指差して語りかけてくるような衝撃的作品でした。
とりあえず まず
映画的に映像表現が前作よりもさらにブラッシュアップしてましたね。
取る札がどんどん絞られて行くCGを使った表現や、ドローン等を使った躍動的なカメラワーク
どんだけ準備時間かかるんだよ!って想像するだけで気が遠くなるスローモーション撮影や、なんといっても青春のシズル感を増させている光量の多さ。
そして本作の白眉でしょう、手描きのアニメ……というか活動絵巻というか。
そんな視覚的表現の秀逸さにプラスして、音の表現もハンパなかったです。
それまで聞こえなかった周囲の音が途端に聞こえてきたり、音楽がなるとこならないところの緩急によって観てるこちら側の呼吸までもコントロールするリズム作り。
凄まじい……。
本来もっと長い話なんだろうな〜って感じで、やや密度高めには感じましたが、それでも物語的に必要な段階を丁寧に着実に積み上げていくストーリーテリングも神がかってますね。
常にクライマックスのような感動の連べ打ちですが、ちゃんとウェットになりすぎないよう、いい意味で水を差すようにポップなくだりを入れるバランスも秀逸でした。
その役回りとして1番活躍してたのが優希美青さん演じる花野菫ちゃんだったな〜と。
もうすっかり高校時代を"懐かしい"と感じるような年齢になってきちゃったなぁ〜。
新入生を招いての部活動の説明の、ちょっと形容しづらいあの不慣れさ、拙さ、
すごくリアルでゾッとしました。
お話の面
あれもこれも立派にできる"からこそ"何をすべきか悩む人。
逆にこれしかできないから、極める人。
そのほかにも常に今の自分の居場所や、この先の居場所を問い、迷う人々の姿が自分と重なってすごく辛かったです。
高校生活はたった3年。
人間の生涯を仮に100年としたら、3/100
本当に一瞬の時間。
かたや、そんなところにいる彼らが扱うのは1000年の時を超えた歌たち。
あまりにも壮大な時間の流れに、来年の進路も決められない未熟な彼らどうして向き合えるんだろうと思ったけど、
考えてみれば
高校生、17歳とか18歳にとっての1年とか1シーズン、1ヶ月や1日って本当に大きなもの。
とにかく大きな価値があって、重要。
本作にスローモーションが多い理由は、もちろん競技中の躍動感や繊細さを表現するためというのもあるとは思いますが、僕は 一見永遠に見える10代にとっての刹那な日々を表してるのかなと思ってます。
10代の彼らにとっての一瞬の大きさは1000年を感じて次に繋ぐだけ、壮大なんだって。
千早が最後に出す答えと、それに至る成長は、時間にしてたった3年だけど、10代が織り成した3年はとても大きく、確実に次の世代へ、なんなら1000年先の未来にだって繋ぐことのできる"光"なんだ。
そんなすぎゆくことを止められない"時間"というものを無限にまで拡大しうる媒体としての"映画"が持てる効果を最大限に発揮した本作は、これ以上なく映画映画した映画だな……と。
本作そのものが、確実に未来へと語り継がれる"光"なんじゃないかな…と。