ガイ・リッチーらしくないけど、やっぱりガイ・リッチー。
予告編も特に観てなかったので、ここまでハードな作品だったとは思わなくて、嬉しい誤算でした。
爆弾工場を見つけて、逃げて、アーメッドがキンリーを担いで生還!
という、この時点で何フェーズも変化する作劇に「すごい映画だなぁ〜」と思っていたら、まさかのそこは折り返し地点。
そこからが本番でした。
アメリカの「正義」みたいなものが無責任にも生み出したことを償うような後半。
そして「強いアメリカ」を代表するように登場するアントニー・スター。つまりホームランダー。すごいキャスティング。
凡百のハリウッド映画なら、アガる展開にしそうなラスト・ミニッツ・レスキューも、その圧倒的すぎる武力と、これまでの努力はなんだったんだ?という呆気なさに
「それができるなら、もっと解決できる問題あるだろ!!!」とモヤるバランス。
見事なまでに欺瞞を突いたアメリカ批評だなぁと感心していると、さらに追い討ちをかけるエンドクレジット。
あの写真たち。
彼らの間にはきっと絆があったろうに、ボカシや黒戦が隠す顔立ちに胸が苦しくなる。
ジェイク・ギレンホールの演技が上手いのは知ってるけど、それでもやっぱりむちゃくちゃ上手いよな…と改めて思うと同時に、
アーメッド役のダール・サリムさんの物言わぬ表情に何度も心を動かされました。
ちゃんとガイ映画らしいテンポ感やケレン味もあるし、岩肌を滑り落ちるところとか、真上にタリバンがいたときのあの緊張感、度々差し込まれる空撮のスリリングさ等々、要所要所でガイ味が良いスパイスになっていたのが良かったです。
普段の軽薄でシャレてて、優しいヤンキーが出てくるタイプのガイ映画も好きだけど、こういうのもたまらない。