サムカワ

コヴェナント/約束の救出のサムカワのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
4.8
ガイ・リッチーらしくないけど、やっぱりガイ・リッチー。

予告編も特に観てなかったので、ここまでハードな作品だったとは思わなくて、嬉しい誤算でした。

爆弾工場を見つけて、逃げて、アーメッドがキンリーを担いで生還!
という、この時点で何フェーズも変化する作劇に「すごい映画だなぁ〜」と思っていたら、まさかのそこは折り返し地点。

そこからが本番でした。

アメリカの「正義」みたいなものが無責任にも生み出したことを償うような後半。
そして「強いアメリカ」を代表するように登場するアントニー・スター。つまりホームランダー。すごいキャスティング。

凡百のハリウッド映画なら、アガる展開にしそうなラスト・ミニッツ・レスキューも、その圧倒的すぎる武力と、これまでの努力はなんだったんだ?という呆気なさに
「それができるなら、もっと解決できる問題あるだろ!!!」とモヤるバランス。
見事なまでに欺瞞を突いたアメリカ批評だなぁと感心していると、さらに追い討ちをかけるエンドクレジット。
あの写真たち。

彼らの間にはきっと絆があったろうに、ボカシや黒戦が隠す顔立ちに胸が苦しくなる。

ジェイク・ギレンホールの演技が上手いのは知ってるけど、それでもやっぱりむちゃくちゃ上手いよな…と改めて思うと同時に、
アーメッド役のダール・サリムさんの物言わぬ表情に何度も心を動かされました。

ちゃんとガイ映画らしいテンポ感やケレン味もあるし、岩肌を滑り落ちるところとか、真上にタリバンがいたときのあの緊張感、度々差し込まれる空撮のスリリングさ等々、要所要所でガイ味が良いスパイスになっていたのが良かったです。

普段の軽薄でシャレてて、優しいヤンキーが出てくるタイプのガイ映画も好きだけど、こういうのもたまらない。
サムカワ

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