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リングのmitakosamaのレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
4.0
Jホラーなるジャンルをこの一作で確率しただけに記念碑的1作ですな。
コレまでの怪談映画・怪奇映画から、今作で日本のホラー映画を一気に塗り替えた。時代を変えた映画だね。

リング直前から水面下で秀作が作られてはいた。鶴田法男のほん怖シリーズ、黒澤清のCURE、そして中田秀夫の女優霊。そういった土壌があったうえでの今作。決して突発的な作品ではなく、満を持して売れるべくして売れたと考えるべきでしょう。

貞子がただ突っ立っているだけで怖い。その雰囲気があるだけでただの家でも怖く見える演出。これは鶴田がほん怖で編み出した手法だし、もっと遡るとジョンカーペンターのハロウィンの演出手法に辿り着く。ホラー映画の正当な文脈の上にある事がわかる。

原作小説とは結構アレンジしてる。一番は主人公が男から女になった事でしょう。でもそれにより「子を守る母性」という要素が加わったのでより判り易く、主人公の行動原理も明確になったと思う。
また貞子が両性具有な設定とかも無くなってる。これも無くして懸命かな。
オリジナルに近い映像化は飯田譲治のテレビドラマ版リングがあるし。

原作の面白さもある。やっぱりビデオテープに念写して、不幸の手紙のネタをやるってアイデアは秀逸だわ。また過去に東大で実際に行われた超能力実験もモチーフにしてるなど、オカルト好きのツボをとても上手く付いている。
それに映画オリジナルの貞子のビジュアルを足すことで、ホラー映画史に名を刻む作品となった。

この映画を公開初日に見た時の事はよーく覚えてる。上映後に女子高生がケータイで「コワかったー!絶対見なよ!」と口コミで広げるのを見て、この映画は相当収益を上げると確信したわ。
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