さく

バーフバリ 王の凱旋のさくのレビュー・感想・評価

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)
5.0
大袈裟でもなんてなく、私にとっては生涯一位かもしれないです。おっさんになって、それほど心を揺さぶられたのは初めてです。

子供の頃、全盛期だったジャンプを毎週買って、ワクワクして読んでいた感じ、コミックスを何度も読み返していた頃の気持ち、プロレスが大好きで、撮ったビデオをアホみたいに繰り返し観ては学校の砂場とか市営の体育館でプロレスごっこに夢中になっていたときの気持ち、新しいファミコンソフトを買ってもらって、親に怒られながも何時間もプレイした時のあの感じ、そういった感情は大人になった今、もう味わえないのだと諦めておりました。それが大人になった証拠なんだと。

ところが、バーフバリを観たら、「まだ俺にもこういう感情って残ってたんだ…」と。『マッドマックス』でもここまでの感動は無かったです。

脚本が単調すぎて先が読める…みたいな評もありますが、そんなストーリーだけで語るような作品ではないですよ。むしろ、一つ一つのシーン。ストーリーは読めても、こんなシーン、あんなシーンを先読みできるのかっての! 例えば、3本の弓矢を撃つシーンなんかも思いついてはしても、あんなケレン味たっぷりにそうそう撮れるもんじゃないですよ。

凄いシーンを挙げるときりがないですけど、下手くそに撮ると極めてチープでB級、C級になりかねないものを、極めて「カッコよく」撮っています。何故かっこつきの「カッコよく」なのかと言うと、所謂、一般的に言われる格好良さとは対極にあるからです。

かつて前田日明が、「カッコいいってのは何てカッコ悪いんだろう」と言いましたが、そういう美学に基づく格好良さなんですよ。

私の大好きだったプロレスは、世間的には「ダサい」ものとされ(最近はオカダカズチカさんとかの活躍で変わってるようですが)、これまた私の大好きなヘヴィメタルなんかも、今やダサさの極地みたいな扱いですよ(これもベビメタが売れたりはしてますが)。

もはや何を言いたいのか自分でもわからなくなってきましたが、上映途中で、ラーズウルリッヒよろしく立ち上がって拳を握りしたくなるくらい興奮して観ました。映画を観ながらこんなに興奮したのは初めての経験です! 5百億点でも生温い!
さく

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