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バーフバリ 王の凱旋のnetfilmsのレビュー・感想・評価

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)
3.7
 1人の死で報われた命、蛮族カーラケーヤとの戦争に勝利した後、マヒシュマティ王国では国母シヴァガミ(ラムヤ・クリシュナ)が次期国王に兄のバラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティシヴァ)ではなく、弟のマヘンドラ・バーフバリ(プラバース)を指名し、マヒシュマティ王国にはしばしの平穏が訪れる。だが寺院を参詣する悪魔祓いの儀式の際に象が暴れ出す不吉な予兆が起きる。国王の戴冠式までの間、見聞を広めるために国内を巡ってくるように提案した母親の思いは、マヘンドラに運命の女を見つけさせることになるものの、嫁姑の争いは、自らの名誉よりも、民衆の命を大切にする方を国王に選んだシヴァガミの審美眼を微妙に狂わせて行く。自らの身分を装い、クンタラ王国に潜入したマヘンドラとカッタッパ (サティヤラージ)の二面性の面白さは『水戸黄門』の水戸光圀のような虚実を入り乱れさせ、デーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)の従兄弟のクマラ・ヴァルマ(スッバラージュ)をコメディ・リリーフとして用いる。最愛の人と国母との確執は古今東西、どこの世界でも同じような展開があるが、一度は国王争いに破れたはずのバラーラデーヴァ側が母子の亀裂に割って入り、争乱の危機に乗じて天下取りに乗り出す。

 インド国内で『きっと、うまくいく』や『PK』を越える歴代興収第一位に輝いた『バーフバリ』の完結編。前作のラスト、突然踵を返したようにマヘンドラに刀を抜いたカッタッパ の思いの真相、そして父の死を明らかにする物語が前半部分を占めるのだが、その事情が兄弟間・嫁姑間の骨肉の争いだというのは万国共通である。母子の不和に突如割って入る運命の女デーヴァセーナと、それを容易に受け入れらない国母シヴァガミの思いに乗じ、バラーラデーヴァは様々な謀略を駆使してマヘンドラを失脚させようとする。デーヴァセーナとの純愛を貫くために、兄の企みに黙って耐え抜く父親の姿がいじましく感情移入してしまう。ドロドロとした血縁にまつわる愛憎劇はS・S・ラージャマウリも得意なようで、かなり熱っぽく描いているものの、それゆえ息子のアマレンドラ・バーフバリの物語がラスト35分に駆け足になってしまっているのが何とも勿体無い。だが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『300』のカタルシスを足して2で割ったようなスケールで描かれる苛烈なアクションは前作よりも更にスケール・アップし、マヒシュマティ王国の書き込みやエキストラの人数も前作とは比べ物にならない。クライマックスのスロー・モーションならぬストップ・モーションを駆使したメリハリのあるショットの数々、望遠鏡の覗いた先に見えた息子バドラの首、ヤシの木のブランコやテコの原理を使った円環状の盾などの度肝抜くアクションのアイデアが素晴らしい。インドから襲来した黒船映画は、ハリウッド映画ファンも一見の価値がある。