木葉

女は二度決断するの木葉のレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.7
もっと寛容で博愛のある世の中に。
この映画を観たらそんなことをふと思う。
移民排斥の波に揺れるヨーロッパの問題の核心に触れているドラマだ。
映画は実際にネオナチが起こした事件を基に、爆発テロにより家族を失ったあるドイツ人女性の告発劇を描いているのだが、同じく娘を殺されたスリービルボードと違い、こちらは悲劇に襲われるダイアンクルーガーに思いっきり感情移入出来るようになっている。
冒頭から家族を失い、法廷劇ではコテンパンに責められ、被害者がこんな理不尽な立場になるかというほど。
家族を殺された心の喪失を埋めるために微量の麻薬に手を出してしまったりするが、最終的に、彼女は自分で行動を起こすことを決断する。
自らも移民二世のファティアキン監督は、世界がどんどん狭くなり、変わっていく様を見るに耐えなかったのかもしれない。
極右になりつつある世界で、自分自身何が出来るかということを考えた時、明らかに個人の力は甚だ小さ過ぎることを思い知る。
ただ、この映画の結末がこれで良かったのかどうかも考えてしまう。
それぐらいに、差別意識の根源をなくすのは難しいし、報復や復讐で問題が解決出来るとは到底思えないからである。
木葉

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