ゴミ箱島代表ひもる

ヴェノムのゴミ箱島代表ひもるのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
2.5
良いところもそれなりにある作品ではある。まず、エディ・ブロックを演じるトム・ハーディは演技がほんとに上手い。特にシンビオートに取り憑かれた後のひどい狂気っぷりは素晴らしい。
エディ・ブロックとヴェノムのちょっとばかげたやりとりを見るのは楽しい。かなりシリアスな作品だと思ってたけど、適度にユーモアがあった。アクションシーンだと、中盤のカーチェイスが良かった。
ただ、これらの利点が十分に活かされてるとは言い難く、何よりも脚本の問題が多すぎる。
特に主人公のエディ・ブロックの行動は頭が悪すぎる。仕事を失うきっかけは完全にエディ・ブロックの自業自得。あんな恐ろしい噂を持っている人にストレートに質問するのはどうかと思う。彼女に迷惑かけてるし捨てられたのも当たり前。
最初に失敗した主人公が成長するなら良いんだけど、そうじゃないし、ミシェル・ウィリアムズ演じるアン・ウェイングには、すでに新しい彼氏がいるにもかかわらず、仲直りしてるみたいになってる。これに限らず、キャラクターの心理的描写の薄さは非常に目立つ。エディ・ブロックとヴェノムの最も重要なコンビは、特別なきっかけなしで仲間のようになるし、ヴェノムは悪者のようには見えない。人を攻撃するのも身を守るためばかりだし、意外と聞き分けがよく、いい人は食べてはいけないとエディ・ブロックが言ったら受け入れるし、悪く見えない。最終的に、人類を守るために突然同胞を裏切ったし。
正直なところ、ストーリーの構成は良くなく、前半は見せ場が少なかくてつまらなかったし、後半は尺が足りなかったせいか、突然の急展開が目立った。台詞での説明も多い。
アクションシーンはただでさえ暗くて見づらいことが多いのに、動きが速すぎたり、カメラワークがおかしかったり、フラッシュが強かったりしてさらに見づらくなってる。中盤のカーチェイスが完全にピーク。
この作品はPG12だけど、そんなに残酷な描写はなく、これなら15、18とかでもいいから、『デッドプール』のようにもっと過激にして欲しかった。予告編では"残虐"と言われているけど、直接人を殺す描写は少なく、殺し方も酷いものじゃない。MCUにはない残酷さを期待していたから、かなりがっかりした。