柊

ジュピターズ・ムーンの柊のレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
3.0
テーマが重すぎて、解決の糸口も無いというのが、現在のヨーロッパそのものなのか?
ハンガリーの国境警備隊はいとも簡単に難民に向かって銃を向ける。その躊躇のなさに世界は共存すると言う思考を放棄したのかもしれない。神が創った世界は既にその形を維持できない程歪んでしまったのか。浮遊する力を突然授かった難民の少年とその力を利用しようとする訴訟問題を抱えた医師。少年を追う銃口を向けた警備隊員。追いつ追われつの展開だけど、浮遊する事に力を傾けたからか、細かいストーリーの繋がりが悪い。全体像をざっくりと把握しながら浮遊感に集中する作品と言っても良いかと思う。
浮遊して地上に降り立つ所を影で追いかけたシーンはとても美しい。神なき世界につかわされた天使なのかもしれない。…がしかし天使には既に世界を俯瞰する事しかできなかったのかもしれない。結論を求めた作品ではないのだろうが、何ともテーマは重いのに出口がない。
柊